NPO法人 生活の発見会  関東第一支 部


 森田正馬のことばコラム

「初一念ノート」の実践方法A

調布世田谷集談会 

なんくる 



初一念の具体的事例


@「うわっ!しまった!」

 長女が3歳の時のことである。私は、家内に洗濯するために娘の枕カバーを外すように言われた。すごく、かたくて、強引にはがした時に、びりっと破けてしまった。その瞬間@「うわっ!しまった!」→A 「娘の大切にしていた枕カバーをやぶってしまった。どうしよう。」→B「かわいそうなことをした。あいつ、大泣きするだろうな。」→C「正直言って、あや まろうかどうしようか。」→D「いや、知らんぷりして洗濯機を回したらこんがらがって破れたんじゃないか。」ということにしよう。→E「それでは、あまり にも白々しいな。でも、なんといいわけしようか。」
 
  私の頭の中はぐるぐる回り始めた。@からEまでの私の感情の動きだが、ほんの数秒でEまで行ってしまうという感じだった。それも、Aは一瞬でその上から BCDEと一気に覆いかぶさってくる感じであった。そんな時、家内から朝食の声がかかったので、とにかく、私は、そのまま、洗濯機に入れてしまった。さ て、朝食だが、家族全員で食べていた時に私は、ご飯ものどに通らなかった。家内に打ち明けたら冷たく「さあね。このみが何ていうかね?正直言うしかないん じゃないの。」と言われた。仕方なく私は娘に正直に言ったら娘は号泣してしまった。。その後は、泣き止んだ後は、忘れたが、しばらくの間は、娘の好きな キャラクターが描かた枕カバーだったので確か、そのまま使った。
 
  なんて言い訳しようかという気持ちになったら初一念ではなく三念、四念となって言い訳がましい気持ちが起こり気持ちが乱れてしまったという出来事であっ た。初一念から出発するどころか5念、6念となって最初の純な心は跡形もない感じで埋もれてしまったということだろうか。 
 
  これは、確か石井先生が、まだ、御存命中に、私が調布世田谷集談会で「初一念」について解説した時に上記の体験談を発表したら石井先生が普段は誉めない方 なのに「面白い。」とおっしゃられて大爆笑された。説明も的を得たようで若い人から好評だったので、その日のビールがうまかったことを思い出した。

     
               
A「うわあ!いつの間にかよごれがいっぱい!!」

 風呂場を見たら「うわあ!いつの間にかよごれがいっぱい!!」
 タイルとタイルのすき間に黒い汚れがあったので洗剤をつけてごしごしタオルで100回ずつこすったらきれいに落ちて気持ちが良かった。このときは、特に風呂掃除の予定はなかったが、あまりにも汚いと感じて、その場で手を出したのが良かった。



B「え!紙芝居をやるの!」 

 足立区地域学習センターのビラを見ていたら「8/2足立区桜花亭で紙芝居」というビラを見つける。
「え!紙芝居を見ることができるの!」
 
   8月2日(土)和室で年配の男の方が紙芝居を見せてくださった。特に、紙芝居の中で日本神話があった。恥ずかしながら有名な天照大御神が女性 であることを初めて知った。すごく勉強になった。また、私は、読み聞かせが大好きで紙芝居にも大変興味があるので紙芝居の絵の動かすタイミングや間の取り 方もすごく勉強になって心が豊かになった気分だった。
 
  この紙芝居がきっかけで、日本神話に興味を持った。私は、10月20日(月)午後2時からの佐野地域学習センターで行われる「声を出して読もう『古事 記』」の講座に参加した。そこで改めて日本神話の面白さや複雑さを知ることができてよい気持ちだった。古典を声を出して読むことがとても心地よいことを感 じて、すごく心が豊かな気分になった一日だった。
 
  この後、源氏物語や徒然草の講座にも参加した。また、平家物語の琵琶の弾き語りも申し込んだ。そして、興味がいろいろなところに波及した。さらに今年になって三味線体験講座にも参加した。



C「あ!この紫色の花は、北千住で見た花だ!」
(傍線は、初一念ノートの原文のまま)

9/5(金)
 家を出て自転車で舎人地域学習センターに行く途中に、北千住で見た紫色の花が見えた。
「あ!この紫色の花は北千住で見た花だ。」→「あれ、また、ちがう紫色の花があった。」→「また、薄紫色の朝顔だ」→「ムラサキツユクサだ。」→今日は、紫色に縁があるのかな。
 
  上記は、初一念ノートに書いた文章である。そういえば、北千住で見つけたあの時も、花の形は、サルビアに似ているけれど、サルビアのように、いくつもの花 が集まっているわけではないし何という名前の花なのかわからなかったので、後で調べるために携帯で写真を撮ったのを思い出したのだった。でも、相変わら ず、わからないままだったので、仕方ないと思っていたら、また、別の紫色の花で、名前がわからない。仕方ない。そして、そのまま、目的地まで行こうと自転 車を走らせたら淡い色のうす紫色の朝顔を見つけたら、すぐ、下の方にムラサキツユクサの花が咲いていた。
 今日は、紫色の花をよく見つけるなあと感じながら舎人センターへ行った。



D「あ!珍しい和風造りだ!」「おやっ!すごい行列!」
(初一念ノートのまま)

9/12(金)
 11時にファミリー集談会に到着するために、私は、いつものように4号線を自転車を走らせて目的地へと向かったが、道に迷い、江戸通りに出てしまった。ウナギ屋の主人らしき人に浅草駅を尋ねたら、行き過ぎたらしく、引き返して、本部に向かう途中に  

@「あれ!珍しい和風造りだ!」→「何の建物だろう?」→「えーー!駒形どじょう!」
和風づくりのめずらしいひときわ目立つ建物だったので、自転車ですっ飛ばしながらも思わず止めてしまった。遅刻しそうなので、本来ならそれどころではないのだが。こんなところに「駒形どじょう」の店があったのか。
  先日、足立区の「おしゃべり処」と言って老人たちの憩いの場の集まりで私は傾聴ボランティアをやっていた。その時に、老人の方たちからうなぎ屋とどじょうの店の話が出て、「駒形どじょう」がおいしいと言っていたので、いつか行って食べてみたいと思っていたのを思い出した。
 まさか、こんなところで見つかるとは。道に迷うのも悪くはないな。むしろ、素晴らしい出会いがあることを痛感した一瞬であった。

Aその後は、自転車を飛ばして行くと、だんだんスカイツリーや東武浅草駅の建物が見えた時、
「おやっ!すごい行列!」→「何で、こんなにならんでいるんだろう。」→「浅草麦とろ」という店の看板あり。きっと、おいしくて有名な店なのかな。今度、行ってみたいな。
 まさか、道に迷ったおかげで、2つもおいしそうな店を発見できるとは。ただ、遅刻してしまったのは良く無かったけれど、何か、豊かな気分になったようだった。 



E「あ!この前、見た雑誌だ!」
 
 9/5(金)梅田図書館で、わき水の本を読みたくなった。すると、近くに雑誌「日経おとなのOFF」が目に入った。そういえば、先日も読んで面白かったので取ってみたら
「あ!この前、見た雑誌だ!」→「おや!おいしいコーヒーどうぞ!」だって?→2軒おいしいコーヒー屋を見つける。ミカフェート元麻布店と北山珈琲店だった。
 
  後日、急に前回調べた珈琲店に行きたくなって自転車で上野駅から少し離れた「北山珈琲店」に行った。
 さて、入ろうとしたときにびっくり!。入り口のドアに以下のことが書かれてあった。
「中では、一切の談話、読書、事務作業禁止」とのことだった。私は戸惑った。どういうことだろうか。多分、珈琲をじっくり味わえよということなのだろうか。
 中に入ってみたら、狭い店の中で周りは、珈琲豆の袋が幾重にも積み重なって無造作に置かれテーブルやいすの場所がかなり狭くなっていて10人入るのがきつい程度。店員が「ドアの注意書きを読んでくれましたよね?」と念を押す感じで聞いた。
「はい。」と私は、うなずいた。
 
  この店に入ってよかったのは、ふつう、喫茶店に入ったら談話をするか、一人なら新聞を読んだり、日記を書いたりするにだが、ただ、珈琲を味わうだけの店だから珈琲を飲みながら考え事をするか、ぼーっとするしかない。
 私は、飲みながら目をつぶったらジャズの音楽が流れてきた。
「あ!ピアノジャズだ!」
目をつぶって深呼吸しているうちに珈琲豆の香りとピアノジャズに癒されるような落ち着きを感じてきた。
 900円と高かったが、今までになくものすごい苦いコーヒーで余計落ち着けた気分だった。30分経ったら、店員が「用があるので店を閉めます。」と言われて店を出た。
 今前に経験したことのない落ち着いた空間だった。


F「おや!すごい行列!」

9/30(火)
 新橋ビルの中、トイレに行く途中、「おや!すごい行列!」→「なになに?むさしや 明治拾八年創業?明治18年からやってるの?」→オムライス・ナポリタンなど洋食屋さんのような雰囲気。→「今度食べてみたい。」


G「あれ!赤い実がついている!」
10/8(水)
 心療内科の帰り飯田橋駅付近の通りで街路樹が赤い実をつけているのに気が付いた。
「あれ!赤い実がついている!」→「桜かな?」→「でも、桜の葉に見えたような気もするけれど、桜は、春だし・・・」
 
 上記のように植物であまりにも名前がわからないので以前に「10/18舎人公園の花と緑の観察」という講座で散策しながら講師の先生が植物の名前を教えてくださるそうなので申し込んだ。
 10/18(土)参加して結局、「ハナミズキ」であることがわかって、気持ちが良かった。


H「あ!コスモス!」「あ!ショウリョウバッタ!」「あ!干潟だ!」

9/9(火)
@10:15荒川土手の平井橋付近で「あ!コスモス!」→秋になったんだなあ。秋風の心地よい風

A荒川土手で自転車を走らせていたら「あ!ショウリョウバッタ!」→「あれ!片足とれている。大丈夫かな」→飛んで逃げた。

Bこの日は、すごく落ち込んでいたので朝から、荒川土手に行った。何気なく自転車を走らせていたら急に東京湾に行きたくなって荒川も河川敷を下流に向かってひたすら自転車をこいだ。
 足立→葛飾→江戸川区と通過し東京湾らしきところに到着した。たぶん、海しか見えないから東京湾だと思う。
 さて、引き返そうと思ったら「あ!干潟だ。!何か生き物がいるかな?」→「何か黒いぼつぼつのかたまりが見える。」→「うわっ!クロベンケイガ二か!キモい!」
 よく見たらクロベンケイガにが150匹近くうようよとうごめいているので、結構、気持ち悪かった。

C葛西橋が見えてきた。ふと、左側を見たら「あ!オレンジのコスモス!」→「きれいだな。」
さらに、橋に近づくと「うわっ!オレンジコスモスの大群!」→一斉に陽に映えて輝いてきれい。      
「うっとり。」

I「あ!夕刊だ!」
(傍線は、初一念ノートの原文のまま)

8/28(水)
 家に古新聞が積み重なっていた。「あ!夕刊だ!」→「もしかしたら数独ができるぞ!」→「あ!渡辺和子さんの記事だ!」→「え!この人のお父さんって、二二六事件で殺されたの?」→切り抜こう
 
  初一念ノートには、上記のように書きました。私の家は毎日新聞で毎日新聞の夕刊の第一面は下の方に数独が掲載されていて、それをやるのが楽しみで、毎日新聞を広げたわけです。
 すると、渡辺和子さんの記事が掲載されていたとは、びっくり。渡辺和子さんは「置かれた場所で咲きなさい。」の作者です。そのような方が掲載されていたなんて。見過ごしていたんですね。そして、読んでみたらまた、びっくり。
 
  彼女が、日本史でも勉強した226事件で亡くなられた渡辺錠太郎の娘であったとは。当時9歳の女の子。目の前で43発もお父さんが青年将校にピストルで撃 たれたシーンを目の当たりにしていたわけですから。9歳の娘が怖い鬼のような形相の軍人たちが何人もで父親を襲ってくるシーンをどう感じたのでしょうか。 これは、大きな大きな心の傷になったのではないでしょうか。
  このことを、50年たって許すことができたと書かれてありました。そんな人生があったんですね。この50年間はきっと青年将校だけでなく誰を恨み続けたの でしょうか。また、恨んでしまう自分自身に対してもどんな気持ちを抱き続けたのでしょうか。あまりにも無慈悲な試練のような気がします。ただ、救いは、彼 女は家族の愛に支えられていたことだと思います。
 彼女の芯の強さと温かさは、こんなつらい出来事を50年以上も苦しみながら生きながらえながら作り上げてきたのですね。
 この記事は毎日新聞2014年8月14日の記事で切り抜いてノートに貼りました。

 ←前のページ   →次のページ


もくじ

なぜ、今、「初一念ノートなのか

初一念をまとめる時のポイントと注意

初一念ノートを続けての感想

初一念の具体的事例

初一念をさらに理解できるための
参考資料






リンク

調布世田谷集談会ホームページ

第一支部ホームページ

生活の発見会ホームページ